データ活用成功への道標:CRISP-DM

デジタル化を知りたい
先生、『CRISP-DM』ってデータマイニングの方法だけど、どういう順番で進めるのか教えてください。

デジタル化研究家
良い質問だね。『CRISP-DM』は、まずビジネスの現状を把握し、次にどんなデータが必要なのかを理解する。それから必要なデータを準備して、モデルを構築する。そして、作ったモデルを評価し、最後に展開・共有するという流れだよ。

デジタル化を知りたい
なるほど。流れは分かりましたが、それぞれの段階で具体的に何をするんですか?

デジタル化研究家
例えば、ビジネスの現状把握では、目的や課題を明確にする。データの理解では、データの種類や量を確認する。データの準備では、データをクリーニングしたり変換したりする。モデル構築では、予測モデルなどを作る。評価では、モデルの精度を確認する。展開・共有では、得られた結果を関係者に伝えたり、システムに組み込んだりするんだよ。
CRISP-DMとは。
データ分析に基づいて経営や事業をより良くしていくための手法、『クリスプディーエム』について説明します。これは、SPSS社、NCR社、ダイムラークライスラー社といった企業が集まって作ったグループが開発した、データ分析の手順書のようなものです。データ分析のプロジェクトをどのような順番で、どんな作業をしながら進めていくのかを、はっきりと決めています。様々な業界で使える、データ分析の手順のひな形となっています。具体的には、まず会社の現状を把握し理解することから始め、次に分析に使うデータの内容を理解します。それから、実際に分析できる形にデータを整え、分析のやり方を考えます。そして、そのやり方が良いかを評価し、最後に結果を関係者で共有します。
はじめに

近頃は、情報技術の進歩によって、実に多くの情報が作られています。この膨大な情報をうまく使いこなすことが、会社の力を強くするためには欠かせません。そこで、情報の中から価値あるものを探し出す技術であるデータ探査が注目を集めています。しかし、データ探査の取り組みを成功させるには、計画的に進めることが大切です。そのための指針となるのが、データ探査のための方法論であるCRISP-DMです。
CRISP-DMは、情報分析標準化推進協議会とも呼ばれ、有名な会社であるSPSS社やNCR社、ダイムラークライスラー社などが共同で開発しました。この方法論は、データ探査の取り組みを成功させるための手順を明確に示しており、多くの会社で役立てられています。
CRISP-DMは、6つの段階から成り立っています。まず初めに、取り組む課題や目的をはっきりさせ、必要な情報を集めます。次に、集めた情報の質をチェックし、不足している情報があれば追加で集めます。そして、情報の整理や加工を行い、分析しやすい形に変えます。準備が整ったら、いよいよデータ探査の手法を用いて、情報の中から規則性や関連性を見つけ出します。得られた結果を評価し、本当に役立つものかどうかを判断します。最後に、得られた成果を報告書にまとめたり、新たな仕組みに組み込んだりして、実際に活用できるようにします。
このように、CRISP-DMは段階的な手順を踏むことで、データ探査の取り組みを成功に導くための確かな道筋を示しています。本稿では、CRISP-DMの全体像とそれぞれの段階について、さらに詳しく説明していきます。
現状把握

事業変革を進める上で、まず現状を正しく把握することが肝要です。これは、家を建てる前に土地の形状や地質を調査するようなもので、その後の工程すべてに影響する重要な作業です。まず行うべきは、事業の目的を明確にすることです。漠然と現状を変えたいというのではなく、何を達成したいのか、最終的な目標地点はどこなのかを具体的に言葉にする必要があります。例えば、商品の販売数を増やしたいのか、それとも顧客一人あたりの購入金額を増やしたいのか。あるいは、製造にかかる時間を短縮したいのか、不良品の発生率を減らしたいのか。目指す姿を明確にすることで、進むべき道筋が見えてきます。
次に、データ分析によってどのような成果を期待するのかを具体的に定めましょう。例えば、顧客の購買履歴を分析することで、顧客の好みを把握し、より効果的な販売戦略を立てることができるかもしれません。あるいは、製造工程のデータを分析することで、不良品が発生しやすい工程を特定し、改善策を講じることができるかもしれません。データ分析を通じてどのような情報を得たいのか、そしてその情報を使ってどのような行動を起こしたいのかを明確にすることで、分析の精度を高めることができます。
さらに、関係者との密な連携も欠かせません。事業に関わる様々な立場の人々から、それぞれの考えや課題を丁寧に聞き取り、情報を共有することで、プロジェクト全体の理解と合意形成を深めることができます。これは、まるで建物を建てる際に、設計士、建築業者、施主が綿密に打ち合わせを重ねるようなものです。それぞれの専門知識や視点を持ち寄り、連携することで、より堅固で、より目的に適った建物を建てることができるように、事業変革においても関係者全員が同じ方向を向いて進むことが重要です。事業目標の設定、成功の基準となる指標の明確化、そして、具体的な計画の策定など、最初の段階でしっかりと基礎を築くことで、その後の成功への道筋がしっかりと描かれるのです。

データ理解

事業の現状把握が終われば、データの理解に進む必要があります。データ分析に使うデータを集め、その中身を詳しく調べます。まず、データの種類や性質、データのばらつき具合などを確認し、データの特徴を捉えます。データの正確さや完全性を高めるため、必要に応じてデータの修正や形式の変更なども行います。
データの理解を深めることで、分析に適したデータを選び、より正確な分析結果を得ることが可能になります。例えば、顧客のデータであれば、年齢や性別、過去の買い物履歴といった属性を分析することで、顧客をグループ分けしたり、購買の傾向を見つけ出したりすることができます。
データの内容を理解するために、いくつかの具体的な手順を踏みます。まず、データの属性を理解します。それぞれのデータが何を表しているのか、どのような単位で測られているのかなどを把握します。次に、データの質を確認します。欠損値や異常値、矛盾する値などがないかを確認し、必要に応じて修正や削除を行います。データの分布を理解することも重要です。データがどのようにばらついているのかをヒストグラムや散布図などを使って可視化し、データの全体像を把握します。
データの可視化はデータ理解を助ける有効な手段です。グラフや図表を使ってデータを視覚的に表現することで、データの傾向やパターンを掴みやすくなります。例えば、棒グラフを使えば、各項目の値の大きさを比較することができますし、折れ線グラフを使えば、時間の経過に伴う変化を捉えることができます。円グラフは、全体に対する各部分の割合を示すのに便利です。散布図は、二つの変数の関係性を視覚的に把握するのに役立ちます。これらの可視化ツールを使うことで、データの全体像を把握しやすくなり、より深い理解に繋がります。そして、データの理解に基づいて適切な分析手法を選択することで、より精度の高い分析結果を得ることができ、事業の改善に繋げられます。

準備作業

いよいよ、集めた情報を詳しく調べ、実際に使える形に整える段階に入ります。この準備作業は、良い結果を得るために非常に重要です。まるで料理をする前に、材料を洗ったり切ったりするようなものです。この作業を丁寧に行うことで、最終的な料理の味、つまり分析結果の精度が大きく変わってきます。
まず、集めた情報の中には、空欄や明らかに間違っている情報が含まれている場合があります。これらをそのままにしておくと、正しい結果が得られないため、空欄を埋めたり、間違っている情報を修正したり、場合によっては削除する必要があります。これは、野菜の皮を剥いたり、傷んでいる部分を切り取ったりする作業に似ています。
次に、集めた情報は様々な形式で保存されている場合があります。例えば、日付が「2024年1月1日」と「2024/01/01」のように異なっていたり、金額が「10,000円」と「10000」のように単位が省略されていたりします。これらの情報を統一された形式に変換することで、後の分析作業がしやすくなります。これは、すべての材料を同じ大きさに切ったり、同じ単位で計量したりするようなものです。
また、複数の場所から集めた情報を組み合わせる必要がある場合もあります。例えば、顧客情報と購買履歴を組み合わせることで、顧客の購買傾向を分析することができます。この時、異なる情報源の情報を正しく結びつけることが重要です。例えば、同じ顧客なのに名前の表記が違っていると、正しく結びつけることができません。これは、異なる材料を混ぜ合わせる際に、それぞれの材料が均等に混ざるように注意深く混ぜる作業に似ています。
このように、情報をきれいに整え、正しい形に変換し、必要に応じて組み合わせることで、後の分析作業がスムーズに進み、より正確な結果を得ることができます。この準備作業は、一見地味で面倒に思えるかもしれませんが、最終的な結果に大きな影響を与える重要な作業です。
| 作業 | 内容 | 料理の例え |
|---|---|---|
| データクレンジング | 空欄の補充、誤りの修正、不要なデータの削除 | 野菜の皮むき、傷んだ部分の除去 |
| データの正規化 | データ形式の統一(日付、金額、単位など) | 材料を同じ大きさに切る、同じ単位で計量する |
| データの統合 | 異なる情報源のデータの結合(例:顧客情報と購買履歴) | 異なる材料を均等に混ぜ合わせる |
モデル構築

集めた情報を元に、いよいよ見本の形作りを行います。これは、いわば土台となる設計図を作る作業です。情報のかたまりから、どのような知恵を掘り起こしたいのかによって、手法を選び、細かく調整していきます。例えば、沢山ある情報の中から、似たもの同士をグループ分けするやり方や、ある情報から別の情報を予測するやり方、情報の中に隠された規則性を見つけるやり方などがあります。
見本の形作りには、専門的な知識と経験が欠かせません。どの手法を選ぶのか、どのように調整するのかによって、見本の出来栄えが大きく変わってきます。ぴったりの手法を選び、細かな調整を繰り返すことで、高い確度で未来を予測できる見本を作ることができます。
また、作った見本が本当に使えるものなのかを確かめる作業も大切です。作った見本を色々な角度から試し、その性能を評価します。例えば、集めた情報をいくつかのグループに分け、それぞれのグループで作った見本の性能を比べることで、見本が特定の情報だけに偏っていないか、色々な状況で使える汎用的なものなのかを確認します。この検証作業をしっかり行うことで、より信頼性の高い、実用的な見本を作り上げることができます。
見本の形作りは、試行錯誤の繰り返しです。色々な手法を試したり、調整を繰り返したりしながら、最も良い結果が得られる見本を目指します。この地道な作業こそが、質の高い予測や分析を実現するための重要な一歩となります。
| 工程 | 説明 | ポイント |
|---|---|---|
| 見本の形作り | 集めた情報から、土台となる設計図を作成する。情報のかたまりからどのような知恵を掘り起こしたいのかによって、手法を選び、細かく調整する。例えば、グルーピング、予測、規則性発見など。 | 専門知識と経験に基づいた手法選択と調整が重要。未来予測の精度向上に直結。 |
| 見本の検証 | 作った見本が本当に使えるものなのかを確かめる。様々な角度から試し、性能を評価。情報をグループ分けし、各グループで見本の性能を比較することで、偏りや汎用性を確認。 | 信頼性と実用性の向上に不可欠。 |
| 試行錯誤と最適化 | 様々な手法や調整を繰り返し、最も良い結果が得られる見本を目指す。 | 質の高い予測や分析を実現するための重要なステップ。 |
評価作業

作った模型の良し悪しを細かく調べ、仕事で使えるか、役に立つかを確かめる作業について説明します。この作業は、作った模型が目的通りに使えるか、仕事で使えるものかを判断する大切な工程です。具体的には、模型の正確さ、計算結果の揺らぎにくさ、結果の分かりやすさなどを調べます。
まず、模型の正確さを調べます。これは、模型がどれくらい現実に近い結果を出せるかを確認する作業です。例えば、来客数を予測する模型であれば、実際の来客数と模型が予測した来客数の差を調べます。この差が小さければ小さいほど、模型の正確さの高いと言えるでしょう。次に、計算結果の揺らぎにくさを調べます。これは、同じ条件で計算を繰り返した時に、結果がどれくらいばらつくかを確認する作業です。結果のばらつきが少なければ少ないほど、模型は安定していると言えます。最後に、結果の分かりやすさを調べます。これは、模型がなぜそのような結果を出したのかを理解できるかどうかの確認です。結果が分かりやすければ、模型の改善点を検討しやすくなります。
これらの評価項目を総合的に判断し、模型が実用的なものかどうかを判断します。もし評価の結果が思わしくなければ、模型の作り方に戻ってやり直します。模型の作り方、使った情報、計算方法などを見直し、より良い模型を作れるよう工夫します。また、模型がうまく使える範囲や限界についても考えます。どんな場合に模型が正確な予測を出せるのか、どんな場合には使えないのかを明確にすることで、模型を適切に使えるようになります。
模型の評価は、仕事を進める上でとても重要な判断材料となるため、注意深く行う必要があります。評価結果は、関係者全員で共有し、模型が本当に役に立つものかを皆で確認します。そうすることで、皆が納得した上で模型を使い、仕事を進めることができます。これは、仕事全体の成功にもつながる大切な作業と言えるでしょう。
| 評価項目 | 内容 |
|---|---|
| 模型の正確さ | 模型がどれくらい現実に近い結果を出せるかの確認。実際の値と予測値の差を調べる。 |
| 計算結果の揺らぎにくさ | 同じ条件で計算を繰り返した時の結果のばらつきを確認。ばらつきが少ないほど模型は安定している。 |
| 結果の分かりやすさ | 模型がなぜそのような結果を出したのかを理解できるかどうかの確認。分かりやすければ模型の改善点を検討しやすい。 |
展開と共有

練り上げた計画に基づき、良いと判断されたものは実際に仕事で使ってみます。作ったものをただ使うだけではなく、周りの人にも分かりやすく説明し、情報を共有することが大切です。
具体的には、仕組みに組み込んだり、まとめたものを報告書にして関係する人たちに渡したりします。そして、作ったものをどのように動かし、どのように管理していくのかという計画も立てます。データを使って分析した成果を仕事に活かすことで、売り上げを増やしたり、費用を減らしたりといった良い結果につながることが見込めます。
さらに、得られた知識や知恵を会社全体で共有することで、これからの仕事の進め方を考える助けにもなります。作ったものを使い始めてからも、定期的にきちんと動いているかを確認します。そして、必要に応じて作り直したり、調整したりすることで、効果が長く続くようにします。
例えば、ある商品の人気が落ちた時、その原因を探るために、過去の販売データや顧客の属性データなどを分析したとします。その結果、特定の地域で人気が落ちていることが分かったとします。この分析結果を基に、その地域で販売促進キャンペーンを実施することにしました。そして、キャンペーンの効果を測定するために、キャンペーン期間中の売上データを分析します。もし効果が見られなければ、キャンペーンの内容を修正したり、別の施策を検討したりします。このように、分析結果を基に具体的な行動を起こし、その結果を評価することで、効果的な改善策を立てることができます。また、この一連の過程と結果を社内で共有することで、他の商品や地域でも同様の問題が発生した場合に迅速に対応できるようになります。

