止まらないシステム構築:可用性の重要性
デジタル化を知りたい
先生、「可用性」ってよく聞くんですけど、具体的にどういう意味ですか?
デジタル化研究家
そうですね。「可用性」とは、コンピューターシステムなどを利用者が問題なく使える状態を維持することです。システムが止まらずに使える状態のことですね。
デジタル化を知りたい
なるほど。でも、システムってメンテナンスとかで止まったりする時もありますよね?
デジタル化研究家
その通りです。だからこそ、可用性を高めるためには、予備のシステムを用意するなどの対策が必要となるのです。指標としては、時間単位での稼働率が使われることが多いですね。
可用性とは。
コンピューターやインターネットのサービスなどを、利用する人がいつでもスムーズに使える状態を保つことを「可用性」といいます。コンピューターやインターネットのサービスは、点検や修理などのために止めたり、機械の故障やプログラムの不具合で動かなくなることがあります。いつでも使えるようにするためには、予備のシステムを用意するなど、対策が必要です。「可用性」は、使える時間の割合で表されることが多いです。
はじめに
いまの世の中は、たくさんの情報処理の仕組みによって支えられています。例えば、インターネットでお買い物をしたり、銀行でお金の出し入れをしたり、電車やバスの時刻表を確認したり。どれもコンピューターの仕組みがあってはじめてできることです。もしこれらの仕組みが止まったら、私たちの暮らしはどうなるでしょうか?きっと大変な混乱が起きるでしょう。
だからこそ、「使える状態にあること」がとても大切になります。「使える状態にあること」とは、必要な時にいつでもきちんと動くことです。専門用語では「可用性」と言います。この「可用性」が高いほど、安心してシステムを使えるということです。
例えば、インターネットで買い物をするとき、サイトにアクセスできないと困りますよね。銀行のシステムが止まったら、お金をおろすことも送ることもできなくなります。電車の運行管理システムにトラブルが起きたら、電車が遅れたり運休したりして、多くの人が困ってしまいます。
企業にとっては、「可用性」は事業を続けるために欠かせません。システムが止まると、商品を売ることができなくなったり、サービスを提供できなくなったりして、大きな損失につながる可能性があります。また、顧客からの信頼を失ってしまうかもしれません。
社会全体にとっても、「可用性」は重要です。電気、ガス、水道などのライフラインを管理するシステムが止まると、私たちの生活に大きな影響が出ます。災害時など、いざという時にシステムが動かないと、人命に関わる事態にもなりかねません。
このように、「可用性」は現代社会を支える重要な要素となっています。システムを設計・運用する際には、「可用性」を常に意識し、障害発生時の対策をきちんと考えておく必要があります。
対象 | 可用性の重要性 | システム停止時の影響 |
---|---|---|
個人 | インターネットショッピング、銀行取引、交通機関の利用など、日常生活の様々な場面でシステムが利用されているため、可用性は非常に重要。 | システム停止により、サービスの利用ができなくなり、日常生活に支障が生じる。 |
企業 | 事業継続に不可欠。システム停止は売上減少、サービス提供停止、顧客からの信頼喪失につながる可能性がある。 | 事業活動の停止、経済的損失、評判の低下。 |
社会全体 | ライフライン(電気、ガス、水道など)の安定供給に直結するため、非常に重要。 | 生活への大きな影響、災害時の対応困難、人命に関わる事態の発生。 |
可用性の指標
情報技術の仕組みが、きちんと動くかどうかの度合いを測る尺度の一つとして、動く時間の割合があります。これは「稼働率」と呼ばれ、百分率で表します。例えば、一年間の稼働率が九十九・九九パーセントの仕組みは、一年間で五十二分くらいまでしか止まらないことを意味します。この稼働率の値が大きければ大きいほど、その仕組みは安定して動いているといえます。
稼働率を表す際、九十九・九パーセントのように、小数点以下の九がいくつ続くかで、その仕組みの信頼性を表現することがあります。小数点以下の九の数を数えて、「いくつもの九」という意味で表現します。例えば九十九・九九パーセントは「四つの九」、九十九・九九九パーセントは「五つの九」のように表現します。より多くの九を持つ仕組みは、より高い稼働率を誇り、安定して使えることを示します。
どのくらいの稼働率を目指せば良いかは、その仕組みの役割の重要さと、それを使う人たちの求める水準によって変わってきます。例えば、銀行のインターネット取引の仕組みのように、常に動いていることがとても大切な仕組みでは、非常に高い稼働率が求められます。このような仕組みは、「五つの九」以上の稼働率を目指して設計され、運用されるのが一般的です。これは、利用者への影響を最小限に抑え、信頼できるサービスを提供するために非常に重要な点です。
稼働率(%) | 名称 | 年間停止時間 | 説明 |
---|---|---|---|
99.9 | 三つの九 | 8時間45分 | |
99.99 | 四つの九 | 52分 | |
99.999 | 五つの九 | 5分 | 銀行のインターネット取引など、常に動いていることが大切な仕組みに求められる。利用者への影響を最小限に抑え、信頼できるサービスを提供するために重要。 |
可用性を高めるための対策
情報処理機械群がいつでも使えるようにするための工夫は、幾つかあります。大切なのは、同じ部品を予備として用意しておくことです。これは、機械の部品をいくつか用意することで、一部の部品が壊れても、他の部品で仕事を続けられるようにする仕組みです。例として、計算機を複数台用意しておき、1台が壊れても、他の計算機が仕事を代わりに引き受けることで、全体の作業が止まるのを防ぐことができます。
また、普段からきちんと点検することも大切です。機械の不具合や隠れた問題を早く見つけて、対処することで、故障が起きる危険性を小さくすることができます。具体的には、部品の劣化具合を調べたり、動作試験をしたりすることで、事前に問題を把握し、交換や修理などの対策を講じることができます。さらに、作業記録を残しておくことで、過去の不具合発生状況を分析し、今後の予防に役立てることもできます。
さらに、故障が起きた時の素早い対応方法を決めておくことも重要です。故障が起きた時にどうすれば良いか、手順をはっきりさせておき、練習をしておくことで、止まっている時間を最小限にすることができます。例えば、予備の部品をすぐに使えるように準備しておく、復旧作業の手順書を作成しておく、担当者を決めておく、定期的に復旧訓練を実施する、といった対策が考えられます。
これらの対策をうまく組み合わせることで、情報処理機械群がいつでも使えるようにすることができるようになります。それぞれの対策の効果や費用、システムの重要度などを考慮し、最適な組み合わせを選ぶことが大切です。また、技術の進歩に合わせて、常に新しい対策を取り入れる柔軟性も必要となります。
対策 | 説明 | 具体例 |
---|---|---|
部品の予備を用意 | 同じ部品を予備として用意することで、一部の部品が壊れても、他の部品で仕事を続けられるようにする。 | 計算機を複数台用意しておき、1台が壊れても、他の計算機が仕事を代わりに引き受ける。 |
普段からの点検 | 機械の不具合や隠れた問題を早く見つけて対処することで、故障が起きる危険性を小さくする。 | 部品の劣化具合を調べる、動作試験をする、作業記録を残す。 |
故障時の素早い対応 | 故障が起きた時にどうすれば良いか、手順をはっきりさせておき、練習をしておくことで、止まっている時間を最小限にする。 | 予備の部品をすぐに使えるように準備しておく、復旧作業の手順書を作成しておく、担当者を決めておく、定期的に復旧訓練を実施する。 |
可用性と他の要素とのバランス
情報を取り扱う仕組みを電子化するにあたり、使いやすさを向上させることは大切なことですが、それ以外の要素との兼ね合いも考える必要があります。使いやすさを追求するあまり、費用や作業時間といった他の大切な要素がおろそかになってしまっては意味がありません。例えば、同じ機能を持つ部品を複数用意して、一つが壊れてもすぐに別の部品で動き続けられるようにする対策は、仕組みを複雑にしたり、費用がかさむ原因となります。
また、使いやすさだけを重視しすぎると、新しい機能を追加したり、変更を加えることが難しくなり、開発の速度が遅くなってしまうこともあります。情報を取り扱う仕組みを作る際には、使いやすさだけでなく、処理速度や安全性、メンテナンスのしやすさなど、様々な要素を考慮に入れ、最適なバランスを見つけることが重要です。
そのためには、その仕組みが何を目指しているのか、利用者の要望は何か、使えるお金はどれくらいかなどを踏まえた上で、適切な使いやすさのレベルを決める必要があります。例えば、普段使いの道具であれば、多少使い勝手が悪くても、安価で壊れにくい方が良いでしょう。一方で、緊急時に人命を救うための医療機器などは、多少高価でも、常に使える状態でなければなりません。このように、利用状況に合わせて、使いやすさと他の要素とのバランスを調整することが大切です。
要素 | 説明 | 注意点 |
---|---|---|
使いやすさ | 情報を取り扱う仕組みがどれだけ容易に利用できるか | 使いやすさを追求しすぎると、費用や作業時間、保守性、開発速度などに悪影響を与える可能性がある。 |
費用 | 情報を取り扱う仕組みを構築・運用するためのコスト | 使いやすさを向上させるための冗長化などは費用増加につながる。 |
作業時間 | 情報を取り扱う仕組みを構築・運用するための時間 | 複雑な仕組みは作業時間を増加させる。 |
処理速度 | 情報が処理される速さ | 使いやすさとトレードオフになる場合がある。 |
安全性 | 情報が適切に保護されているか | 使いやすさとトレードオフになる場合がある。 |
メンテナンスのしやすさ | 情報を取り扱う仕組みを維持・管理する容易さ | 複雑な仕組みはメンテナンスを困難にする。 |
開発速度 | 新しい機能の追加や変更の速さ | 使いやすさを追求しすぎると開発速度が低下する可能性がある。 |
まとめ
情報を取り扱う仕組みにとって、使い続けられるかどうかはとても大切なことです。この使い続けられる状態を「可用性」と呼びます。もしも仕組みが止まってしまったら、仕事が滞ったり、社会生活に支障が出たりと、大きな困りごとを引き起こす場合があります。
この可用性を高めるためには、様々な工夫が必要です。例えば、同じ部品を複数用意しておくことが有効です。一つが壊れても、予備の部品がすぐに使えるようにすることで、仕組全体が止まることを防ぎます。これを「冗長化」と言います。また、定期的に点検や修理を行うことも大切です。不具合を早期に発見し、対応することで、大きな問題に発展するのを防ぎます。さらに、もし仕組が止まってしまった場合に備えて、素早く復旧するための手順を準備しておくことも重要です。
しかし、可用性を高くしようとすればするほど、良いことばかりではありません。例えば、予備の部品を用意するにはお金がかかりますし、点検や修理にも人手が必要です。また、複雑な仕組を構築するには、開発に時間がかかってしまうこともあります。つまり、可用性を追求しすぎると、費用や開発期間が増えてしまうという問題が生じます。
そのため、情報システムを作る際には、可用性だけを重視するのではなく、他の要素との兼ね合いを考える必要があります。費用や開発期間、使いやすさ、安全性など、様々な要素を考慮し、バランスの取れた仕組を作ることが大切です。
誰のために、何のためにこの仕組みを作るのかをしっかりと理解し、適切な可用性の水準を設定することで、その仕組みの価値を最大限に引き出すことができます。
可用性を高めるための工夫 | メリット | デメリット |
---|---|---|
冗長化(同じ部品を複数用意) | 一つが壊れても予備が使えるため、システム全体が停止するのを防ぐ | 費用がかかる |
定期的な点検・修理 | 不具合を早期発見・対応し、大きな問題に発展するのを防ぐ | 人手が必要 |
迅速な復旧手順の準備 | システム停止時の素早い復旧が可能 | 手順作成・訓練に時間と費用がかかる場合もある |
可用性向上のデメリット | 費用や開発期間の増加 |
---|---|
システム設計時の注意点 | 費用、開発期間、使いやすさ、安全性など、他の要素とのバランスを考える必要がある。誰のために、何のために作るのかを理解し、適切な可用性の水準を設定する。 |