人材活用 知識を生み出すSECIモデル
人は様々なことを知っていますが、これらの「知っている」には大きく分けて二つの種類があります。一つは言葉で表すのが難しい、感覚的な知識です。これは暗黙知と呼ばれ、例えば自転車に乗る時の体のバランス感覚や、熟練した職人さんの研ぎ澄まされた技などがこれに当たります。このような知識は、実際に経験を積み重ねることで初めて身につくもので、言葉で説明しようとしてもなかなかうまく伝えられません。そのため、他の人と共有することも容易ではありません。もう一つは、言葉や図表などで表現できる知識です。こちらは形式知と呼ばれ、例えば製品の使い方を説明した説明書や、会社の業績をまとめた報告書、建築物の設計図などが例として挙げられます。形式知は目に見える形ではっきりと表現されているため、理解しやすく、他の人にも伝えやすいという特徴があります。会議の資料や教科書の内容なども、この形式知に含まれます。このように、暗黙知と形式知はそれぞれ異なる性質を持っていますが、互いに全く関係がないわけではありません。例えば、熟練の職人が自分の技術を弟子に伝える際には、言葉で説明できる部分は形式知として伝え、言葉では伝えられない部分は実際に作業を見せることで暗黙知として伝えます。また、最初は暗黙知として体得していた技術も、繰り返し実践し分析していくうちに、形式知として整理できるようになることもあります。このように、暗黙知と形式知は互いに影響し合い、変化し続けることで、私たちの知識はより豊かで深いものになっていきます。
