MVVMでアプリ開発をもっと楽に!
デジタル化を知りたい
先生、『MVVM』って最近よく聞くんですけど、どういう意味ですか?
デジタル化研究家
MVVMは、Model-View-ViewModelの略で、プログラムの見た目部分を操作する部分と、データ部分を分けて整理するための考え方だよ。ユーザーが見る画面(View)、画面に表示するデータ(Model)、そしてViewとModelの橋渡しをするViewModelの3つの部分に分けて考えるんだ。
デジタル化を知りたい
3つの部分に分けることで、どんな良いことがあるんですか?
デジタル化研究家
見た目とデータを分けて作ることで、例えば見た目を変えたいときに、データ部分に影響を与えずに変更できたり、複数人で作業するときに分担しやすくなるといった利点があるんだよ。
MVVMとは。
画面表示と操作に関わる部分と、データ処理や機能に関わる部分を分けて考えるソフトウェア設計の考え方について説明します。
MVVMとは
利用者との接点となる画面表示を扱う部分を『見た目』、表示するデータや処理を扱う部分を『中身』、そして『見た目』と『中身』を繋ぐ部分を『繋ぎ手』と呼ぶことにしましょう。この3つの役割をそれぞれ、『見た目』はビュー(View)、『中身』はモデル(Model)、『繋ぎ手』はビューモデル(ViewModel)と呼び、この3つの要素に役割を分けて考える設計思想がMVVMです。
『見た目』であるビューは、利用者が実際に操作したり、情報を受け取ったりする部分です。例えば、画面に表示されるボタンや入力欄、表示される文章や画像などです。ビューは、『繋ぎ手』であるビューモデルと連携し、表示内容を動的に変化させます。
『中身』であるモデルは、アプリケーションのデータや処理を担当します。例えば、データベースとのやり取りや、計算処理、データの保存などが含まれます。モデルは、ビューモデルから指示を受けて処理を行い、その結果をビューモデルに返します。
『繋ぎ手』であるビューモデルは、『見た目』と『中身』を仲介する役割を果たします。ビューモデルは、ビューから受け取った操作をモデルに伝え、モデルから受け取った結果をビューに表示するよう指示します。このように、『見た目』と『中身』を分離することで、それぞれの部分を独立して開発・変更することが可能になります。
MVVMは、複雑な画面や処理を持つアプリケーション開発において特に有効です。それぞれの役割が明確に分かれているため、複数人で開発を進める場合でも、担当を分担しやすく、作業効率が向上します。また、変更が必要になった場合でも、影響範囲を限定しやすいため、修正にかかる時間や手間を削減できます。さらに、コードの可読性や再利用性も向上するため、保守性の高いアプリケーション開発を実現できます。携帯電話のアプリや、インターネットを通して利用するアプリなど、様々な種類のアプリ開発で広く使われています。MVVMを理解することは、より使いやすく、高品質なアプリを効率的に開発するために重要です。
それぞれの役割
プログラムを作る際に、役割分担を明確にすることは、整理された分かりやすい構成につながります。この役割分担を実現する代表的な方法として、『モデル・ビュー・ビューモデル』と呼ばれる考え方があります。これは、プログラムを大きく三つの要素に分割して開発する手法です。
まず、『モデル』は、プログラムが扱う情報や処理の核となる部分です。例えば、買い物サイトであれば、顧客の情報や商品の詳細、購入金額の計算方法などがモデルに該当します。モデルは、プログラムの根幹を成す重要な部分と言えるでしょう。
次に、『ビュー』は、利用者が実際に目ににする表示部分です。画面に表示されるボタンや入力欄、商品の一覧などがビューにあたります。利用者はこのビューを通してプログラムを操作し、情報を得ます。つまり、ビューは利用者とプログラムをつなぐ窓口の役割を果たします。
最後に、『ビューモデル』は、モデルとビューの間を取り持つ仲介役です。ビューが表示するのに必要な情報をモデルから受け取り、表示しやすい形に変換してビューに渡します。また、逆にビューで発生した利用者の操作をモデルに伝達する役割も担います。例えば、利用者がボタンを押した際に、その情報をモデルに伝えるのはビューモデルの仕事です。ビューモデルがあることで、モデルとビューは直接やり取りする必要がなくなり、それぞれの役割に集中できます。
このように、モデル・ビュー・ビューモデルという三つの要素を明確に分けることで、プログラムの構造が分かりやすくなり、変更や修正が容易になります。また、複数人で開発する際にも、役割分担が明確になるため、共同作業がスムーズに進められます。
MVVMのメリット
見た目と操作の繋がりを司る部分を、「見た目(ビュー)」「操作の受け渡し役(ビューモデル)」「データ管理(モデル)」の三つに分ける設計手法には、多くの利点があります。この手法を「エムブイブイエム」と呼びますが、一番の利点はプログラムの保守性の向上です。三つの部分がそれぞれ独立しているため、一部分だけを修正する場合でも、他の部分に影響を与える可能性が低いからです。
例えば、利用者の目に触れる見た目部分を変更したい場合、見た目部分の設計情報だけを書き換えれば済みます。データ管理や操作の受け渡し部分を変更する必要はありません。これは、開発に必要な時間や手間を減らし、不具合発生のリスクを下げることに繋がります。
また、「エムブイブイエム」は、動作確認のしやすさも大きな利点です。操作の受け渡し役とデータ管理は、見た目部分から独立しているため、それぞれ単独で動作確認を行うことが容易になります。これにより、開発の初期段階で不具合を発見し、修正することが可能になります。結果として、完成度の高い、安定したプログラムを作成することに繋がります。
さらに、分業もしやすくなります。見た目部分はデザイナー、操作の受け渡し役とデータ管理部分はプログラマーといったように、専門分野ごとに作業を分担することが容易になります。これにより、各担当者は自身の専門分野に集中できるため、開発効率の向上が期待できます。
設計手法 | メリット | 詳細 |
---|---|---|
MVVM (Model-View-ViewModel) |
保守性の向上 | 見た目(View)、操作(ViewModel)、データ(Model)を分離することで、一部分の修正が他の部分に影響しにくい。 |
開発効率向上 不具合発生リスク軽減 |
修正範囲が限定されるため、開発時間や手間が削減され、不具合発生リスクも低下。 | |
動作確認のしやすさ | ViewModelとModelはViewから独立しているため、単独での動作確認が容易。 | |
完成度の向上 安定性向上 |
初期段階での不具合発見・修正が可能になり、完成度が高く安定したプログラムに。 | |
分業のしやすさ | Viewはデザイナー、ViewModelとModelはプログラマーといった分業が容易。 |
具体的な例
商品の在庫管理を扱う応用ソフトを作る場面を想像してみましょう。この時、MVVMという設計手法を使うと、プログラムの構造を整理し、開発をスムーズに進めることができます。MVVMは、役割の異なる三つの部分(モデル、ビュー、ビューモデル)から構成されます。
まず、モデルは、商品の情報や操作を管理する部分です。商品名、値段、在庫数といった商品のデータそのものに加え、在庫数を変更する手順なども含まれます。モデルは、いわば商品のデータベースとその操作手順書のような役割を果たします。
次に、ビューは、利用者が実際に目にする画面表示の部分です。商品の一覧表示画面や、在庫数を変更するための入力欄などがビューに該当します。ビューは利用者と応用ソフトの接点であり、情報を分かりやすく表示する役割を担います。
最後に、ビューモデルは、モデルとビューをつなぐ橋渡し役です。モデルから取得した商品のデータをビューに表示しやすい形に変換して提供します。例えば、モデルでは数値で管理されている在庫数を、ビューでは棒グラフで表示するといった変換作業を行います。また、利用者が在庫数を入力した場合、ビューモデルはその値を受け取り、モデルに指示を出して在庫数を更新します。このように、ビューモデルはモデルとビューの間を取り持ち、情報のやり取りを円滑に行う役割を担います。
MVVMを用いることで、モデル、ビュー、ビューモデルの役割が明確に分かれ、プログラムの構造が整理されます。これは、複数人で開発を進める際に作業分担を容易にするだけでなく、プログラムの修正や機能追加を行う際にも影響範囲を限定し、作業ミスを減らす効果があります。結果として、開発全体の効率を高めることにつながります。
他の設計思想との違い
部品を組み立てるようにプログラムを作る設計思想はいくつかありますが、その中でよく知られているものに、MVC(模型・見た目・制御装置)、MVP(模型・見た目・発表者)、そしてMVVM(模型・見た目・見た目模型)があります。 これらの設計思想は、プログラムの部品を役割ごとに模型、見た目、そしてその間を取り持つ部分に分けることで、プログラムの見通しを良くし、変更や修正を容易にすることを目的としています。
MVCでは、制御装置が見た目と模型の間を取り持ちます。例えば、利用者が見た目で何か操作を行うと、その情報は制御装置に伝えられます。制御装置は受け取った情報に基づいて模型を更新し、更新された模型の情報に基づいて見た目を変更します。制御装置は見た目と模型の両方に依存しているため、プログラムが複雑になるにつれて制御装置自体が複雑になりやすく、変更が難しくなる可能性があります。
MVPでは、発表者が見た目と模型の間を取り持ちます。発表者は、見た目の状態を管理し、見た目への情報の表示や更新を行います。MVPでは、見た目と模型は直接やり取りせず、必ず発表者を介して情報のやり取りが行われます。これにより、見た目と模型の依存関係をなくし、それぞれの部品を独立して変更しやすくすることができます。しかし、発表者は見た目の状態を管理する必要があるため、見た目と発表者の結びつきが強くなる場合があります。
MVVMでは、見た目模型が見た目と模型の間を取り持ちます。見た目模型は、見た目に表示する情報を保持し、見た目は見た目模型と結びついています。見た目は、見た目模型の状態を監視しており、見た目模型の状態が変化すると、自動的に見た目に反映されます。この仕組みをデータ結合と呼びます。データ結合のおかげで、見た目と見た目模型の結びつきを弱く保つことができ、変更や修正が容易になります。また、見た目模型は見た目に関する処理のみを担当するため、模型は見た目に関わる処理を行う必要がなくなり、模型の役割が明確になります。このように、MVVMはデータ結合を活用することで、プログラムの保守性を高めることができる設計思想です。
設計思想 | 概要 | 特徴・課題 |
---|---|---|
MVC (模型・見た目・制御装置) | 制御装置が見た目と模型の間を取り持つ。利用者の操作は制御装置に伝えられ、制御装置が模型を更新し、見た目を変更する。 | 制御装置が見た目と模型の両方に依存するため、複雑になりやすく、変更が難しくなる可能性がある。 |
MVP (模型・見た目・発表者) | 発表者が見た目と模型の間を取り持つ。見た目と模型は直接やり取りせず、必ず発表者を介して情報のやり取りを行う。 | 見た目と模型の依存関係をなくし、それぞれを独立して変更しやすくするが、見た目と発表者の結びつきが強くなる場合がある。 |
MVVM (模型・見た目・見た目模型) | 見た目模型が見た目と模型の間を取り持つ。見た目は見た目模型と結びついており、見た目模型の状態変化は自動的に見た目に反映される(データ結合)。 | データ結合により見た目と見た目模型の結びつきを弱く保ち、変更や修正を容易にする。模型は見た目に関わる処理から解放され、役割が明確になる。保守性が高い。 |
まとめ
近年のソフトウェア開発において、整然とした設計は大変重要です。複雑な機能を持つアプリケーションを作る際、変更に強い構造、検証のしやすさ、開発のスピードアップなど、たくさんの良い点があります。その整然とした設計を実現する手法の一つがMVVMです。MVVMは、役割分担を考えることで、プログラムを整理し、品質を高めながら素早く開発できるようにする技法です。
MVVMは、模型(モデル)、表示(ビュー)、仲介(ビューモデル)の三つの要素から成り立ちます。模型はデータや処理を担当し、表示は利用者に見える画面を、仲介は模型と表示の間を取り持ちます。例えば、商品の値段を表示するアプリを想像してみましょう。商品の値段そのものは模型に保存されます。表示はその値段を画面に表示する役割です。仲介は模型から値段の情報を受け取り、表示しやすい形に変換して表示に渡します。このように、役割を分けることで、それぞれの部分が独立して動くようになり、一部分だけを修正するのも容易になります。
MVVMを使う利点は、プログラムの変更が楽になることです。例えば、表示のデザインを変えたい場合、MVVMなら表示の部分だけを修正すればよく、模型や仲介には手を加える必要がありません。また、プログラムの検証もしやすくなります。それぞれの部分が独立しているため、一部分だけをテストすることが容易になり、バグを見つけやすくなります。さらに、複数人で開発する際にも役立ちます。役割分担が明確なので、同時に作業を進めることができ、開発期間を短縮できます。
今後、アプリケーションはますます複雑になっていくと予想されます。そのような状況下では、MVVMのような整然とした設計の考え方はますます重要になります。MVVMのそれぞれの役割と連携をきちんと理解し、適切に使うことで、質の高いアプリケーションを素早く作ることが可能になります。MVVMは、これからの開発者にとって欠かせない知識と言えるでしょう。