イベントソーシング:記録で状態管理
デジタル化を知りたい
先生、『イベントソーシング』って最近よく聞くんですけど、何のことかよく分かりません。簡単に教えてもらえますか?
デジタル化研究家
そうだね。『イベントソーシング』を簡単に言うと、コンピューターシステムの中で何か変化が起きたとき、その変化を記録していく方法のことだよ。例えば、商品の在庫数が10個から5個に減ったら、『5個減った』という出来事を記録するんだ。
デジタル化を知りたい
なるほど。『5個減った』という記録を残すんですね。でも、今の在庫数が5個だという記録だけではダメなんですか?
デジタル化研究家
いい質問だね。今の在庫数だけを記録する方法だと、どうして5個になったのかが分からなくなってしまう。イベントソーシングでは、『10個から5個減った』という変化の記録を全部残すことで、いつでも過去の状態を再現したり、変化の理由を調べたりすることができるんだ。だから、システムの透明性や信頼性を高めるのに役立つんだよ。
イベントソーシングとは。
『出来事の元となるもの』というと難しそうですが、要は、コンピューターシステムの中で何が起きたかを、起きた順番通りに全部記録しておこう、という考え方です。例えば、買い物サイトで何かを買ったとします。すると、『商品をカートに入れた』『注文ボタンを押した』『支払いが完了した』『商品が発送された』といった具合に、一つ一つの行動が記録されます。このように、起きた出来事を記録することで、システムの状態がどのように変化したかを後からいつでも再現できるようになります。もし、システムに何か問題が起きたとしても、記録を巻き戻して原因を調べたり、特定の時点の状態に戻したりすることが簡単にできるようになります。
はじめに
近ごろの計算機技術の進歩によって、色々な仕組みが複雑になっています。仕組みの状態をうまく扱うことも難しくなり、従来の方法では整理するのが大変な場合が増えてきました。そこで、出来事を記録していく「出来事探し」という考え方が注目されています。
出来事探しとは、仕組みの中で何かが変わった時に、その変化を出来事として記録に残していく方法です。そして、記録された出来事を順番に見ていくことで、仕組みがどのように変化してきたのか、過去のある時点での状態を再現できるようになります。
この方法は、従来の状態管理の方法と比べて多くの良い点があります。例えば、なぜ仕組みの状態が変わったのか、その理由を簡単に追跡することができます。また、過去の状態をいつでも再現できるので、問題が起こった時に原因究明をスムーズに行うことができます。さらに、記録された出来事の情報を使って、将来の予測や分析に役立てることも可能です。
例えば、商品の在庫管理で考えてみましょう。従来の方法では、「現在の在庫数」だけを記録しています。もし在庫数が減った場合、その理由が分かりにくくなります。しかし、出来事探しを使うと、「商品が10個売れた」「商品が5個入荷した」といった出来事を記録します。こうすることで、在庫数の変化とその理由が明確になります。また、過去の任意の時点での在庫数を簡単に計算することができます。
この記事では、出来事探しの基本的な考え方、メリット、そして実際にどのように活用できるのか、具体的な例を挙げて詳しく説明していきます。これを読めば、出来事探しの仕組みや利点、活用方法を理解し、皆様の仕事に役立てることができるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
背景 | 計算機技術の進歩によりシステムが複雑化し、従来の状態管理が困難に |
解決策 | 出来事探し:システムの変化を出来事として記録し、状態変化を追跡 |
メリット |
|
例:在庫管理 |
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イベントソーシングとは
出来事の記録に基づいて処理を進める手法、いわゆる出来事の情報源化は、計算機を用いた仕組みの状態を管理するための、新しい考え方です。これまでのやり方では、仕組みの状態をそのまま保存していました。例えば、倉庫にある商品の数を管理するときに、現在の商品の数を記録する方法です。出来事の情報源化では、仕組みの状態を直接保存する代わりに、仕組みの状態が変化した出来事を記録します。例えば「商品が10個入荷した」「商品を3個販売した」といった出来事を記録していくのです。
具体的に商品の数の管理を例に考えてみましょう。従来のやり方では、商品の数を記録するだけです。一方で、出来事の情報源化では、「商品が10個入荷した」という出来事と「商品を3個販売した」という出来事を記録します。これらの出来事を最初から順番に見ていくと、商品の数は10個増え、その後3個減ったので、現在の商品の数は7個だと分かります。このように、過去の出来事を積み重ねていくことで、現在の状態を把握できます。
出来事の情報源化では、これらの出来事を記録するために、専用の記録場所に、いつ、どんな出来事が起きたのか、またその出来事に関する詳しい情報を保存します。この記録は変更することができないように作られています。一度記録された出来事は、後から書き換えたり削除したりすることはできません。新しい出来事が起きた場合は、これまでの出来事の記録に付け加えていきます。このように、出来事の情報源化では、全ての出来事を記録に残すことで、仕組みの状態がどのように変化してきたのかを完全に追跡できます。これは、問題が発生した際に、原因を特定したり、過去の状態を再現したりするのに役立ちます。
項目 | 従来の手法 | 出来事の情報源化 |
---|---|---|
状態管理 | 状態を直接保存 (例: 商品数7個) | 状態変化の出来事を記録 (例: 入荷10個、販売3個) |
現在の状態把握 | 記録された状態を参照 | 過去の出来事を積み重ねて計算 |
記録方法 | 現在の状態を上書き保存 | 変更不可の記録に追加保存 |
記録内容 | 最終的な状態のみ | 全ての出来事と詳細情報 |
メリット | シンプル | 完全な追跡が可能、原因特定や過去の状態再現に役立つ |
イベントソーシングの利点
出来事の記録を順番に保管することで多くの良い点がある手法について説明します。この手法は、従来のデータベースのように現在の状態だけを記録するのではなく、過去の状態の変化を全て記録する方法です。
まず、この手法を使うと、システムのあらゆる変更の履歴を完全に残すことができます。システムの状態がどのように変化してきたかを詳細に記録するため、まるでシステムのあらゆる行動を記録した日記帳のようです。これは、プログラムの誤りを探したり、システムの利用状況を分析する際に非常に役立ちます。例えば、ある商品が売れたという記録だけでなく、誰がいつカートに入れたか、いつ決済したかなど、全ての過程が記録されます。このため、問題の原因究明や利用状況の分析が容易になります。
次に、システムの仕組みを理解しやすくなります。データの変化がどのように起こったのか、その流れを順に追うことができるからです。従来の方法では、現在の状態しか見ることができないため、なぜその状態になったのかを理解するのが難しい場合がありました。しかし、この手法では、過去の全ての変化を記録しているため、システムの動作を簡単に理解することができます。まるで映画のフィルムのように、コマ送りをしながらシステムの状態の変化を確認できるのです。
さらに、システムの機能追加や変更が容易になります。新しい機能を追加する場合、既存の記録方法を変える必要はありません。新しい種類の出来事を追加するだけで対応できます。従来の方法では、データベースの構造を変える必要があり、多くの手間と時間がかかっていました。しかし、この手法では、そのような変更は不要です。新しい機能を簡単に追加できるため、時代の変化への対応もスムーズに行えます。
最後に、システム全体の安定性を高めることも可能です。出来事の記録を別の場所に複製することで、一部のシステムに障害が発生した場合でも、複製した記録からシステムを復旧させることができます。これは、システムの安定稼働に大きく貢献します。一つの場所に記録を集中させるのではなく、複数の場所に分散させることで、災害時にも安心して利用できるシステムを構築できます。
メリット | 説明 | 具体例 |
---|---|---|
完全な変更履歴の記録 | システムのあらゆる変更の履歴を完全に残す。問題の原因究明や利用状況の分析に役立つ。 | 商品が売れた記録だけでなく、カート投入、決済など全ての過程を記録。 |
システムの理解促進 | データの変化の流れを順に追うことで、システムの仕組みを理解しやすくなる。 | 映画のフィルムのようにコマ送りで状態の変化を確認。 |
機能追加・変更の容易性 | 新しい種類の出来事を追加するだけで機能追加が可能。データベース構造の変更は不要。 | 従来の手間のかかるデータベース変更は不要。 |
システム安定性の向上 | 出来事の記録を複製し、障害発生時に複製から復旧可能。 | 記録を複数の場所に分散し、災害時にも対応。 |
適用事例
{出来事 sourcing}は、様々な仕組みに応用できます。具体例として、買い物サイトでの注文管理仕組み、金融機関での取引記録管理仕組み、オンラインゲームでの遊び状態管理仕組みなどを挙げられます。これらの仕組みでは、状態変化の記録を正確に残すことが大切であり、出来事 sourcing は最適な方法です。特に、大量の処理が発生する仕組みや、情報の整合性が非常に重要な仕組みには効果があります。
例えば、買い物サイトでの注文管理を考えてみましょう。客が商品を注文すると、「注文発生」という出来事が記録されます。その後、支払いが行われると「支払い完了」という出来事が、商品が発送されると「発送完了」という出来事が記録されます。このように、注文に関する全ての出来事を記録することで、注文の状態をいつでも正確に把握できます。もし、途中で問題が発生した場合でも、過去の出来事を追跡することで、問題の原因を特定しやすくなります。
金融機関での取引記録管理でも同様です。入金、出金、振込など、全ての取引を出来事として記録することで、取引履歴を明確にできます。これは、不正な取引を検知したり、顧客からの問い合わせに迅速に対応するために不可欠です。
オンラインゲームでは、遊び状態管理に出来事 sourcing を活用できます。誰がいつ、どのような行動をとったかを出来事として記録することで、遊びの状態を再現できます。これは、不正行為の監視や、遊び内容の改善に役立ちます。
このように、出来事 sourcing は、仕組みの状態管理をより確実で柔軟にするための強力な道具となります。状態の変化を出来事として記録することで、情報の透明性を高め、信頼性を向上させます。また、過去の出来事を分析することで、仕組みの改善や新たなサービスの開発にも繋げられます。
適用例 | メリット | 出来事の例 |
---|---|---|
買い物サイトの注文管理 | 注文状態の正確な把握、問題発生時の原因特定 | 注文発生、支払い完了、発送完了 |
金融機関の取引記録管理 | 取引履歴の明確化、不正検知、顧客対応の迅速化 | 入金、出金、振込 |
オンラインゲームの遊び状態管理 | 遊び状態の再現、不正監視、遊び内容の改善 | プレイヤーの行動(アイテム取得、移動など) |
課題と検討事項
催し物情報の記録方式として、事象記録型を取り入れる際に、幾つか乗り越えるべき難題と、事前に考えておくべき点が存在します。事象をどのように設計するかが、大変重要です。催し物情報一つ一つの大きさを適切に定めないと、記録すべき情報が膨大になり、処理能力の低下を招く恐れがあります。催し物情報を記録した流れを適切に管理することも重要です。膨大な量の情報を効率的に保存し、必要な情報を速やかに探し出し、処理するための仕組みが欠かせません。
加えて、事象記録型は従来の情報管理方法とは考え方が異なるため、開発担当者の習熟に時間を要する可能性があります。事象記録型では、データの変更履歴を全て記録することで、システムの現在の状態を把握します。これは、従来のようにシステムの最終状態のみを記録しておく方法とは大きく異なります。そのため、開発担当者はこの新しい考え方に慣れる必要があります。また、事象記録型では、個々の事象は変更されることがありません。新しい情報が追加されるたびに、新たな事象として記録されます。このため、データの整合性を保つための仕組み作りが重要になります。
例えば、商品の注文状況を管理する場合を考えてみましょう。従来の方法では、「注文済み」「発送準備中」「発送済み」「配達済み」といった状態を更新していくことで管理していました。一方、事象記録型では、「注文を受け付けました」「商品を梱包しました」「商品を発送しました」「商品が配達されました」といった個々の事象を記録していきます。このように、事象記録型では、システムの状態を事象の積み重ねとして捉えることが重要です。
しかし、これらの難題を適切に解決できれば、事象記録型の長所を最大限に引き出すことができます。変更履歴を全て記録することで、システムの状態変化を詳細に追跡できるため、問題発生時の原因究明や、過去の状態への復元が容易になります。また、個々の事象を記録することで、システムの透明性が向上し、信頼性の向上にも繋がります。事象記録型は、システムの状態管理に新たな可能性をもたらす、有望な手法と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
事象設計の重要性 | 催し物情報一つ一つの大きさを適切に定めることが重要。情報が膨大になり処理能力低下を招く恐れあり。 |
情報管理の重要性 | 膨大な量の情報を効率的に保存、検索、処理する仕組みが必要。 |
開発担当者の習熟 | 従来の情報管理方法とは考え方が異なるため、習熟に時間を要する。 |
データの変更履歴 | 全ての変更履歴を記録し、システムの現在の状態を把握。従来の最終状態のみを記録する方法とは異なる。 |
事象の不変性 | 個々の事象は変更されず、新しい情報は新たな事象として記録。データの整合性を保つ仕組み作りが重要。 |
従来方式との比較(注文状況) | 従来:状態を更新(注文済み→発送準備中…) 事象記録型:個々の事象を記録(注文を受け付けました→商品を梱包しました…) |
事象記録型のメリット | 変更履歴の記録により、状態変化の詳細な追跡、問題発生時の原因究明、過去の状態への復元が容易。システムの透明性、信頼性向上。 |
まとめ
あらゆる情報を数値データに変換して活用する取り組みが進む中、処理の履歴を記録する方法も新しくなっています。従来は、データベースの最終的な状態だけを記録していましたが、それでは変更の経緯が分からず、問題発生時の原因究明が難しいという課題がありました。そこで、状態の変化を記録する方法として、出来事を記録する方法が登場しました。
この方法は、システムの状態を出来事の積み重ねとして捉えます。例えば、商品の在庫管理システムで考えると、従来は現在の在庫数のみを記録していました。しかし、この方法では、在庫数がどのように変化したのか分かりません。出来事を記録する方法では、「10個入荷」「3個出荷」「5個返品」といった個々の出来事を記録します。これにより、常に在庫の変動履歴を把握できます。
この方法には多くの利点があります。変更履歴を全て記録するため、問題発生時の原因究明が容易になります。また、過去の任意の時点の状態を再現できるため、システムの動作確認や分析に役立ちます。さらに、システムへの変更が容易になり、複数の処理を同時に行うシステムの構築にも適しています。
適用範囲も広がりを見せています。例えば、会計システム、在庫管理システム、電子商取引システムなど、様々な分野で活用されています。特に、データの正確性や信頼性が求められるシステムに適しています。
もちろん、課題もあります。大量の出来事を記録するため、記憶領域の容量に注意が必要です。また、出来事を記録する処理自体がシステムの負荷になる可能性もあります。さらに、システム設計も従来の方法とは異なるため、開発者の習熟が必要です。しかし、これらの課題を適切に解決することで、出来事を記録する方法は、複雑化する処理を伴う情報の活用において、強力な手段となるでしょう。
項目 | 従来の方法 | 出来事を記録する方法 |
---|---|---|
記録内容 | データベースの最終状態 | 状態の変化(出来事) |
在庫管理の例 | 現在の在庫数のみ | 「10個入荷」「3個出荷」「5個返品」など |
変更履歴 | 不明 | 常に把握可能 |
問題発生時の原因究明 | 困難 | 容易 |
過去の状態再現 | 不可能 | 可能 |
システム変更 | 困難 | 容易 |
並列処理への対応 | 不適 | 適応 |
適用分野 | – | 会計、在庫管理、電子商取引など |
メリット | – | データの正確性、信頼性の向上 |
課題 | – | 記憶容量、システム負荷、開発者の習熟 |