ISDN:時代を築いたデジタル通信網

デジタル化を知りたい
先生、ISDNってデジタル回線で速いんですよね?でも具体的にどういう仕組みで速いんですか?

デジタル化研究家
そうだね、ISDNは速い通信方式の一つだったね。ポイントは回線を同時に複数使えるところだよ。例えば、道路で例えると、普通の電話回線は片側一車線の道路で、インターネットを使うと電話が使えなくなる。ISDNは複数車線なので、電話とインターネットを同時に使えるんだ。

デジタル化を知りたい
なるほど!道路の例えだと分かりやすいです。じゃあ、3車線の道路みたいな感じですか?

デジタル化研究家
いいね!ほぼそんなイメージ。正確には3つの通信経路があって、2つはデータ通信、もう1つは通信を制御するために使われるんだ。だから、2つの経路で同時にデータを送受信できるので、電話しながらインターネットもできたんだよ。
ISDNとは。
『アイエスディーエヌ』は、電話やファックス、それにインターネットといったデータ通信を全部まとめてデジタルで扱う通信網のことです。国際的な電気通信のルールを決めている機関が標準化しています。3つの通り道があって、そのうち2つは通信用、残りの1つは制御用に使います。従来の電話線だけを使ったインターネットとは違って、2つの回線を同時に使えるので、電話をかけながらインターネットをすることもできます。
概要

統合サービス数字網、略してISDNとは、様々な通信サービスを一つにまとめたデジタル方式の通信網です。音声による会話やファックス、データのやり取りといった、色々な種類の通信サービスを、デジタルの技術を使ってまとめて提供することができます。これまでのアナログ回線を使った電話とは違い、送りたい情報をデジタルデータに変換してから送受信するため、クリアな音声で会話ができ、データも速く送受信できるという特徴があります。
このISDNの技術は、国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU-T)という国際的な組織が定めた世界基準に基づいて作られています。そのため、世界中で広く使われるようになりました。特に、インターネットが普及し始めた頃は、高速でインターネットに接続できる手段として、ISDNはなくてはならない存在でした。
また、会社にとっては、いくつもの通信回線を一本にまとめられるので、通信にかかる費用を減らせるという利点もありました。例えば、電話回線、ファックス回線、データ通信回線をそれぞれ契約していた場合、ISDNを導入することでこれらを一本化し、回線費用や管理の手間を削減することができました。このように、ISDNは、個人だけでなく、企業にとっても便利な通信技術として、長い間利用されてきました。時代と共に技術は進歩し、光ファイバーなど、より高速な通信手段が登場した現在でも、ISDNは安定した通信技術として、一部の地域では利用され続けています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 様々な通信サービスを一つにまとめたデジタル方式の通信網 |
| 特徴 | クリアな音声、高速なデータ送受信 |
| 標準化 | ITU-Tによる国際標準 |
| インターネット普及期における役割 | 高速インターネット接続手段 |
| 企業におけるメリット | 通信費用の削減、回線の一本化 |
| 現状 | 光ファイバー等の登場で代替が進んでいるが、安定した通信技術として一部地域で利用 |
仕組み

電話や情報を送るための仕組みである総合デジタル通信網(ISDN)は、複数の通信経路をまとめて使うことで便利な機能を実現しています。この通信経路は、水路のように情報を流すための道だと考えてみてください。ISDNでは、主に二種類の経路があります。一つは情報を実際に送るための通信用経路(B経路)で、音声やデータといった、伝えたい内容がこの経路を通って送られます。もう一つは、通信全体の制御を行うための制御用経路(D経路)です。このD経路は、通信を始める時や終わる時、あるいは誰から電話がかかってきたのかといった情報を送るために使われます。例えるなら、B経路は実際に手紙を運ぶ郵便配達員、D経路は配達の手配や宛先確認を行う郵便局のような役割です。
ISDNでは、通常二本のB経路と一本のD経路がセットで使われます。二本のB経路があるおかげで、同時に二つの通信を行うことができます。例えば、電話で話しながら、同時にインターネットで情報を探すこともできるのです。これは、一本の経路しかない従来の電話回線ではできなかったことです。従来の電話回線では、電話を使っている間はインターネットに接続できませんでした。ISDNでは、D経路が通信の接続や切断といった制御信号を扱うため、通信の開始や終了がスムーズに行われます。まるで、手紙を送る際に、郵便局員が迅速に配達してくれるようなものです。このように、複数の通信経路を賢く使うことで、ISDNは従来の電話回線よりも便利で効率的な通信を実現しているのです。
| 経路の種類 | 役割 | 例え |
|---|---|---|
| B経路 (通信用経路) | 音声やデータといった情報を送る | 手紙を運ぶ郵便配達員 |
| D経路 (制御用経路) | 通信の制御 (開始、終了、発信者情報など) | 配達の手配や宛先確認を行う郵便局 |
| B経路 x 2 + D経路 x 1 | 電話とインターネットの同時利用など | – |
種類

情報通信の分野において、ISDNには主に2つの種類があります。一つは、家庭向けに提供されていたTA方式(端末接続装置方式)です。もう一つは、主に企業向けに提供されていたデジタル専用線です。
TA方式は、既に各家庭に敷設されている電話回線を利用してISDNサービスを提供する方法です。利用者は端末接続装置と呼ばれる装置を電話回線に接続することで、ISDNを利用することができました。この装置は、アナログ信号である音声信号をデジタル信号に変換する役割を担っていました。そのため、既存の電話回線をそのまま利用できるという手軽さから、一般家庭への普及が進みました。
一方、デジタル専用線は、ISDNの回線を直接建物内に引き込む方式です。光ファイバーケーブルなどを用いて、通信事業者の交換機から利用者の建物まで、専用のデジタル回線を敷設します。そのため、TA方式と比べて、より高速で安定した通信を行うことができました。また、回線を占有するため、通信速度の低下や遅延などの影響を受けにくいという利点もありました。企業では、このデジタル専用線を活用して、社内ネットワークの構築や、大きなデータの送受信などを行っていました。音声通信だけでなく、データ通信にも対応していたため、業務効率の向上に大きく貢献しました。
このように、ISDNは提供形態によって2つの種類に分かれていました。家庭では手軽に利用できるTA方式が、企業ではより高品質な通信が可能なデジタル専用線が、それぞれ選ばれていました。
| 項目 | TA方式 | デジタル専用線 |
|---|---|---|
| 対象 | 家庭 | 企業 |
| 接続方法 | 既存の電話回線を利用 | ISDN回線を直接建物内に引き込む |
| 回線 | 電話回線 | 光ファイバーケーブル等 |
| 速度/安定性 | 低速/不安定 | 高速/安定 |
| その他 | アナログ信号をデジタル信号に変換する端末接続装置が必要 | 回線を占有するため、速度低下や遅延の影響を受けにくい |
利点

情報のやり取りを電子的に行うことには多くの良い点があります。まず、アナログ回線と比べてはるかに速い速度で情報の送受信ができます。そのため、資料のやり取りや遠隔会議などを、待つことなく快適に行うことが可能です。インターネットで動画を見る際にも、読み込みに時間がかからずスムーズに視聴できます。
次に、音声の質が非常に良くなります。従来のアナログ回線では雑音や音質の低下が問題でしたが、電子化することでクリアな音声で通話できます。これにより、聞き間違いや聞き取りにくさが減り、円滑な意思疎通が可能になります。特に、重要な会議や顧客との電話などでは、明瞭な音声は信頼感の向上にも繋がります。
さらに、電話、ファックス、データ通信など、複数の通信手段を一つにまとめることができます。これまで別々の回線を契約していた場合、それぞれに費用や管理の手間がかかっていました。一本化することで、これらの費用と手間を大幅に削減できます。また、回線の数を減らすことで、配線もすっきりし、職場環境の改善にも繋がります。
このように、情報のやり取りを電子的に行うことで、通信速度の向上、音声の明瞭化、通信手段の統合といった様々なメリットが得られます。これらの利点は、業務の効率化や生産性の向上に大きく貢献し、ひいては企業全体の成長に繋がる重要な要素となります。時代の流れと共に、情報通信技術は常に進化しています。電子化はその進化の過程における重要なステップであり、企業の競争力を維持・向上させる上で不可欠な要素と言えるでしょう。
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 通信速度の向上 | アナログ回線と比べて速い速度で情報の送受信が可能。資料のやり取りや遠隔会議を快適に行える。動画視聴もスムーズ。 |
| 音声の明瞭化 | クリアな音声で通話可能。聞き間違いや聞き取りにくさが減り、円滑な意思疎通が可能。信頼感の向上にも繋がる。 |
| 通信手段の統合 | 電話、ファックス、データ通信など、複数の通信手段を一つにまとめることが可能。費用や管理の手間を削減、職場環境の改善にも繋がる。 |
欠点と衰退

総合デジタル通信網(ISDN)は、様々な利点を持っていた一方で、いくつかの欠点も抱えており、その欠点が普及の妨げとなることもありました。まず、既存のアナログ電話回線と比べて、導入時にかかる費用が高額でした。ISDNを使うには、専用の機器(端末アダプタ)とデジタル回線を新たに設置する必要があり、この初期投資が利用者にとって大きな負担となりました。
また、通信の速度という面でも、後に登場した非対称デジタル加入者線(ADSL)や光ファイバーといった広帯域回線に比べて劣っていました。ADSLや光ファイバーは、ISDNよりもはるかに速い速度で情報を送受信でき、しかも利用料金はISDNより安価に提供されたため、人々は次第にISDNからこれらの新しい回線へと乗り換えていきました。
さらに、ISDNは距離による通信品質の低下という問題も抱えていました。長距離の通信を行う場合、信号が弱くなり、通信速度が低下したり、通信が途切れたりする可能性がありました。このため、遠隔地との通信には不向きでした。
これらの欠点に加え、技術の進歩とともにADSLや光ファイバーといったより高速で安価な回線が普及した結果、ISDNは徐々に利用者を失い、現在ではほとんど利用されていません。しかし、ISDNはデジタル通信の普及に大きく貢献した技術であり、その歴史的な意義は大きいと言えるでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入費用 | 高額。専用の端末アダプタとデジタル回線が必要。 |
| 通信速度 | ADSLや光ファイバーに比べて遅い。 |
| 通信品質 | 距離による信号の減衰があり、遠隔地との通信に不向き。 |
| 結論 | 欠点とADSLや光ファイバーの普及により利用者が減少し、現在ではほとんど利用されていない。しかし、デジタル通信の普及に貢献した技術。 |
今後の展望

情報通信網の高速化、大容量化が進んだことで、統合デジタル通信網(ISDN)は、主流の座を譲ることになりました。光ファイバーや携帯電話網といったより高速で便利な通信手段が普及した現在、ISDNを利用する人は少なくなっています。しかし、ISDNは完全に姿を消したわけではなく、今もなお特定の場面で活躍しています。例えば、企業の中には、主要な通信回線が何らかの原因で利用できなくなった場合の予備回線として、ISDNを維持しているところがあります。また、ISDNの技術は、特殊な装置やシステムにも応用されています。特定の産業分野で使われている専用通信網の一部には、ISDNの技術を基にしたものも存在します。
今後、ISDNの利用者はさらに減少し、いずれは完全に姿を消していくと予想されます。より新しい技術が次々と登場する中で、ISDNは役割を終えようとしています。しかし、ISDNが築いてきたデジタル通信の基盤や技術は、決して無駄になることはありません。ISDNの開発や運用を通じて得られた経験や知識は、未来の通信技術の開発に役立てられるはずです。例えば、ISDNで培われたデータ圧縮や誤り訂正の技術は、現在の高速通信網にも応用されています。また、ISDNの安定性や信頼性を確保するための技術は、災害時や緊急時の通信手段を開発する上でも重要な知見となります。
ISDNは、デジタル通信の黎明期を支えた重要な技術として、その役割を終えようとしています。ISDNがかつてのように広く使われることはなくなりますが、その歴史と技術は、未来の通信技術の礎となるものとして、長く記憶されるべきでしょう。ISDNの技術は、未来の通信技術の発展を支える礎となることでしょう。
| ISDNの現状 | ISDNの役割 | ISDNの未来 |
|---|---|---|
| 主流ではなくなりつつある 一部企業で予備回線として利用 特殊な装置やシステムに応用 |
デジタル通信の基盤を築く データ圧縮、誤り訂正技術 安定性、信頼性確保の技術 |
利用者は減少していく見込み 技術や経験は未来の通信技術に役立つ 歴史と技術は長く記憶される |
