すべての人にやさしいデザイン、ユニバーサルデザイン
デジタル化を知りたい
先生、ユニバーサルデザインって、みんなが使いやすいようにするものってことはわかったんですけど、バリアフリーとどう違うんですか?
デジタル化研究家
いい質問だね。バリアフリーは、すでに存在する不便なものを取り除く考え方だよ。たとえば、階段にスロープをつける、などがそうだね。
デジタル化を知りたい
じゃあ、ユニバーサルデザインは最初からバリアを作らないように設計するってことですか?
デジタル化研究家
その通り!ユニバーサルデザインは、最初からみんなが使いやすいように設計するんだよ。たとえば、押しボタン式のドアは、車いすの人だけでなく、荷物を持っている人にも便利だよね。つまり、最初から不便なものをなくすことで、より多くの人にとって使いやすいデザインにするのがユニバーサルデザインなんだ。
ユニバーサルデザインとは。
誰でも使いやすいように、建物や製品などの設計を考えることを『ユニバーサルデザイン』と言います。これは、年齢や性別、国籍、文化、障害のあるなしに関わらず、すべての人にとって使いやすいようにデザインするという考え方です。『ユニバーサルデザイン』は、よく『UD』と略されます。似た言葉に『バリアフリー』がありますが、これは、高齢者や障害のある人が生活する上で邪魔になるものを取り除くという考え方です。『ユニバーサルデザイン』は、最初からそういった邪魔なものができないように設計するという点で、『バリアフリー』と共通点があります。
はじめに
近年、街を歩けば見かけるようになり、商品にも取り入れられるなど、「みんなのための設計」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、この言葉の意味をきちんと理解している人は、どのくらいいるのでしょうか。「みんなのための設計」とは、生まれた時代や性別、障がいの有無、育った文化や国籍などに関係なく、あらゆる人が使いやすいように工夫された設計のことです。最近では、公共の場だけでなく、商品開発や情報提供など、様々な場面でこの考え方が取り入れられています。
例えば、駅や商業施設などでよく見かけるスロープは、「みんなのための設計」の代表的な例です。車いすの人だけでなく、ベビーカーを押す人や大きな荷物を持つ人など、多くの人にとって移動が楽になります。また、色のコントラストがはっきりとした表示や、大きな文字を使った案内表示なども、視力の弱い人や高齢者にとって分かりやすい情報提供の一環です。
「みんなのための設計」の目的は、単に特定の人々を支援することだけではありません。あらゆる人が、より快適に、より安全に、より便利に暮らせる社会を実現することです。例えば、自動ドアは、手を使うのが難しい人にとってはもちろん、荷物で手がふさがっている人にとっても便利です。音声案内は、視覚に障がいのある人だけでなく、画面を見ることが難しい状況にいる人にとっても役立ちます。このように、「みんなのための設計」は、特定の人のためだけでなく、結果としてすべての人にとっての暮らしやすさを向上させることにつながります。
本稿では、この「みんなのための設計」の基本的な考え方や、関連する様々な考え方、そして私たちの生活にもたらす恩恵について、より詳しく説明していきます。これらを理解することで、「みんなのための設計」が、いかに私たちの社会にとって重要なものであるかを理解し、より良い社会の実現に向けて、私たち一人ひとりができることを考えていきましょう。
用語 | 説明 | 目的 | 具体例 |
---|---|---|---|
みんなのための設計 | 生まれた時代や性別、障がいの有無、育った文化や国籍などに関係なく、あらゆる人が使いやすいように工夫された設計 | あらゆる人が、より快適に、より安全に、より便利に暮らせる社会を実現すること | スロープ、色のコントラストがはっきりとした表示、大きな文字を使った案内表示、自動ドア、音声案内 |
ユニバーサルデザインとは
あらゆる人が暮らしやすい社会を作るための工夫、それがみんなのための設計、ユニバーサルデザインです。年齢や性別、障害の有無、文化や言語の違いなど、様々な背景を持つ人々が、特別な配慮なしに利用できることを目指した設計思想です。後付けで不便な点を直すのではなく、最初から多様な利用者を想定して、製品や建物、サービスなどを作り上げていきます。
例えば、握力の弱い高齢者や小さな子どもでも楽に開閉できるドアノブを想像してみてください。これは、握る、ひねる、押すといった複数の操作方法に対応できるよう工夫されており、特定の誰かを対象とするのではなく、すべての人が使いやすい設計になっています。また、駅や公共施設でよく見かける、色のコントラストがはっきりとした案内表示も一例です。色覚に特性のある人だけでなく、誰でも瞬時に情報を読み取ることができ、移動の負担を軽減します。さらに、段差のない入り口やスロープも、車椅子利用者だけでなく、ベビーカーを押す親や大きな荷物を持つ人にとっても移動をスムーズにします。
このように、ユニバーサルデザインは特定の人々に向けた特別な対応ではなく、すべての人にとっての使いやすさを追求するものです。一つひとつの工夫は小さくても、それらが積み重なることで、誰もが快適に暮らせる、より暮らしやすい社会を実現することに繋がります。そして、ユニバーサルデザインの考え方は、製品や建物の設計だけでなく、情報提供やサービス提供など、様々な場面で応用できます。誰もが社会に参画し、活躍できる社会を作るために、ユニバーサルデザインは今後ますます重要になっていくでしょう。
ユニバーサルデザインの定義 | 設計思想 | 具体例 | メリット |
---|---|---|---|
みんなのための設計。年齢、性別、障害の有無、文化、言語の違いなどに関わらず、特別な配慮なしに利用できることを目指す。 | 最初から多様な利用者を想定し、製品、建物、サービスなどを作り上げる。後付けではなく、最初から配慮する。 |
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バリアフリーとの違い
「障壁を取り除く」という意味を持つ言葉として、よく似たものに『バリアフリー』があります。どちらも、暮らしやすい環境を作るための大切な考え方ですが、その間には違いがあります。『バリアフリー』は、主に体の不自由な方や高齢の方などが、生活の中で感じる物理的な障壁を取り除くことを目指します。例えば、階段を上るのが大変な方のために、スロープを設置したり、目の不自由な方のために、点字ブロックを道に敷いたりすることなどが挙げられます。特定の方々が暮らしやすいように、不便さを解消するための工夫と言えるでしょう。
一方、『ユニバーサルデザイン』は、すべての人が、最初から使いやすいように、ものや環境を設計する考え方です。これは、体の不自由な方や高齢の方だけでなく、子ども、外国人、妊婦さんなど、あらゆる人を含みます。例えば、誰でも簡単に開け閉めできるドアノブや、多言語に対応した案内表示などは、すべての人に役立つものです。つまり、『ユニバーサルデザイン』は、特定の人だけでなく、あらゆる人の使いやすさを考え、最初からすべての人が快適に利用できることを目指しているのです。
このように、『バリアフリー』は特定の人の不便さを解消することに重点を置くのに対し、『ユニバーサルデザイン』は、最初からすべての人が使いやすいように設計することに重点を置きます。例えるなら、段差をなくすために後からスロープを取り付けるのが『バリアフリー』で、最初からスロープ状の緩やかな坂道を作るのが『ユニバーサルデザイン』と言えるでしょう。どちらも暮らしやすい社会を作る上で大切な考え方ですが、そのアプローチが異なることを理解しておきましょう。両者は、補完し合いながら、より良い社会の実現に貢献していくものと考えられます。
項目 | バリアフリー | ユニバーサルデザイン |
---|---|---|
対象 | 体の不自由な方、高齢の方など、特定の人 | すべての人(体の不自由な方、高齢の方、子ども、外国人、妊婦さんなど) |
目的 | 特定の人の不便さを解消する | 最初からすべての人が使いやすいように設計する |
アプローチ | 後から不便さを解消するための工夫を追加 (例: 階段にスロープを後付け) | 最初からすべての人が使いやすい設計 (例: スロープ状の坂道) |
例 | スロープ、点字ブロック | 誰でも開け閉めできるドアノブ、多言語対応の案内表示 |
具体例
私たちの日常生活では、気づかないうちに多くの工夫された設計が使われています。これらは、あらゆる人が使いやすいように考えられたもので、誰でも使えるようにという設計の考え方に基づいています。
例えば、電車やバスなどの公共交通機関の駅を考えてみましょう。多くの駅では、車いすの人も利用しやすいように、ゆるやかな傾斜の通路や昇降機が設置されています。また、視覚に障害のある人のために、音声による案内放送が流れたり、様々な言語で案内表示がされています。これらの設備は、障害のある人だけでなく、大きな荷物を持った人や子供連れの人など、あらゆる人にとって移動を楽にするのに役立っています。
また、最近では、誰でも住みやすいように設計された住宅も増えています。段差のない床は、つまずきによる転倒を防ぎ、高齢者や障害のある人にとって安全です。手すりの設置は、階段の上り下りを楽にし、浴室での転倒防止にも役立ちます。広い通路は、車いすでの移動を可能にし、家の中での移動の自由度を高めます。
その他にも、身の回りには多くの工夫された設計があります。例えば、握りやすい形をした調理器具は、握力の弱い人でも楽に使うことができます。操作が簡単な家電製品は、複雑な操作を覚えるのが難しい高齢者などにとって便利です。これらの製品は、特定の人だけでなく、あらゆる人にとって使いやすく、生活をより快適にするのに役立ちます。誰でも使える設計は、社会全体の生活の質を高める上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
場所 | 工夫された設計 | 対象者 | メリット |
---|---|---|---|
駅 | ゆるやかな傾斜の通路、昇降機、音声案内、多言語案内 | 車いす利用者、視覚障害者、大きな荷物を持った人、子供連れの人など | 移動が楽になる |
住宅 | 段差のない床、手すり、広い通路 | 高齢者、障害のある人、車いす利用者 | 転倒防止、移動の自由度向上 |
調理器具 | 握りやすい形状 | 握力の弱い人 | 楽に使える |
家電製品 | 簡単な操作 | 複雑な操作を覚えるのが難しい高齢者など | 便利に使える |
今後の展望
誰もが暮らしやすい社会を作るためには、みんなが使えるような工夫を取り入れることが大切です。この考え方は、「みんなのための設計」と呼ばれ、これからますます重要になっていくでしょう。
例えば、これから先の情報技術の進歩や社会の変化を考えると、この「みんなのための設計」はなくてはならないものになるでしょう。具体的には、音を文字に変える技術や、携帯電話の便利な道具などをうまく活用することで、もっとたくさんの人が使いやすい製品やサービスが生まれると期待されます。
また、年を重ねた人が増えるこれからの社会では、お年寄りが使いやすい製品や環境をきちんと整えることも重要な課題です。例えば、公共の場所や乗り物などで、分かりやすい案内表示や使いやすい設備を増やすことが必要です。また、家庭でも、お年寄りが安全に暮らせるように、家の中の段差をなくしたり、手すりをつけたりするなどの工夫が大切になります。
さらに、インターネットや携帯電話などの情報通信技術を使うのが難しいお年寄りもいます。そのため、情報通信技術を使うのが苦手な人でも、簡単に情報を得たり、サービスを受けたりできるように、様々な工夫が必要です。例えば、行政手続きをインターネットで簡単にできるようにしたり、お年寄りに使いやすい携帯電話を開発したりすることが考えられます。
このように、「みんなのための設計」は、すべての人が快適に生活できる社会を作るための、なくてはならない考え方です。これからますます技術が進歩し、社会が変化していく中で、この考え方を広く普及させ、誰もが暮らしやすい社会を実現していくことが重要です。
対象 | 課題 | 解決策 |
---|---|---|
全ての人 | 情報技術の進歩や社会の変化に対応 |
|
高齢者 | 高齢者の増加に伴う生活環境の整備 |
|
情報弱者(特に高齢者) | 情報通信技術(ICT)の利用格差 |
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まとめ
あらゆる人が利用しやすく、生活しやすい社会を作る上で、みんなのための設計という考え方はとても大切です。これは、ただ単に不便を取り除くだけでなく、あらゆる人を包み込む、より広く奥深い設計の考え方と言えます。
例えば、街中や建物で見かけるスロープは、車椅子の人だけでなく、ベビーカーを押す人や大きな荷物を持つ人、高齢者など、様々な人にとって便利です。また、公共交通機関における音声案内や、文字が大きく読みやすい案内表示なども、視覚に障害のある人だけでなく、多くの人にとって役立ちます。このように、みんなのための設計は特定の誰かを対象とするのではなく、すべての人が等しく快適に利用できることを目指しています。
私たちの身の回りには、すでにたくさんのみんなのための設計の工夫が見られます。例えば、押すだけで開く自動ドアや、誰でも使いやすいように設計された公共のトイレ、握りやすく滑りにくい道具類など、日常生活の様々な場面で、気づかないうちにその恩恵を受けていると言えるでしょう。
近年、情報技術の進歩は目覚ましく、私たちの生活は大きく変わってきています。この変化に対応しながら、情報機器やサービスにおいても、みんなのための設計の考え方を積極的に取り入れることが重要です。例えば、ウェブサイトやアプリのデザインにおいて、文字の大きさや色のコントラスト、音声読み上げ機能などを工夫することで、より多くの人が情報にアクセスしやすくなります。
今後、社会の高齢化が進むにつれて、みんなのための設計の重要性はますます高まっていくでしょう。技術の進歩や社会の変化に対応しながら、みんなのための設計の考え方をより積極的に取り入れていくことで、すべての人が本当に安心して快適に暮らせる社会を実現できるはずです。
みんなのための設計の定義 | 具体例 | 対象者 | 今後の展望 |
---|---|---|---|
すべての人が等しく快適に利用できることを目指した、広く奥深い設計の考え方 | スロープ、音声案内、大きな案内表示、自動ドア、公共トイレ、握りやすい道具類、Webサイト/アプリのデザインにおける工夫(文字サイズ、色のコントラスト、音声読み上げ機能など) | 車椅子の人、ベビーカーを押す人、大きな荷物を持つ人、高齢者、視覚障害者など、すべての人 | 高齢化の進展とともに重要性が増し、技術の進歩や社会の変化に対応しながら、更なる普及が必要。 |